本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
そう答えたら、銀縁フレームの眼鏡の奥で香奈の目が見開かれた。
「なに?」
「いえ、あの、マコの言った通りだと思いまして。生嶋先生は誤解されやすいけど、本当は優しい人だと言っていました」
「真琴がそんなことを......」
修平の口元が自然と弧を描き、それにも香奈は驚いている。
(優しくはないが、真琴にそう思ってもらえたのは嬉しいな)
夫として合格点をもらいたいという欲張った思いが湧いて、他にもなにか言っていなかったかと問いかけた。
「特にこれと言って......」と香奈に困り顔をさせてしまったが、思い出したように教えてくれる。
「一緒に過ごす時間がほとんどない、と言っていましたね。先生もマコも忙しく働いていますから仕方ないですよね」
同居を始めて半月ほど経ったが、ふたりの休日が重ならなかったこともあり、顔を合わせた時間は少ない。
けれども真琴の手料理には心も腹も温められていて、夕食に添えられた肉筆でのお品書きや『お疲れ様でした』と労いが綴られたメモ用紙には癒されていた。
修平も簡単に返事を書き、そのやり取りに満足していたが――。
「なに?」
「いえ、あの、マコの言った通りだと思いまして。生嶋先生は誤解されやすいけど、本当は優しい人だと言っていました」
「真琴がそんなことを......」
修平の口元が自然と弧を描き、それにも香奈は驚いている。
(優しくはないが、真琴にそう思ってもらえたのは嬉しいな)
夫として合格点をもらいたいという欲張った思いが湧いて、他にもなにか言っていなかったかと問いかけた。
「特にこれと言って......」と香奈に困り顔をさせてしまったが、思い出したように教えてくれる。
「一緒に過ごす時間がほとんどない、と言っていましたね。先生もマコも忙しく働いていますから仕方ないですよね」
同居を始めて半月ほど経ったが、ふたりの休日が重ならなかったこともあり、顔を合わせた時間は少ない。
けれども真琴の手料理には心も腹も温められていて、夕食に添えられた肉筆でのお品書きや『お疲れ様でした』と労いが綴られたメモ用紙には癒されていた。
修平も簡単に返事を書き、そのやり取りに満足していたが――。