本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
珍しいものを見たと言いたげに口角を上げた関根が張りきってデートプランを指南し、修平は真剣に耳を傾けた。

* * *

『真琴が休みの日を教えてくれ。デートをしよう』

一週間ほど前に修平から提案された時、真琴は驚いた。

修平に手術をしてもらいたい患者が、他病院からの紹介状を持って外来に押し寄せていると香奈から聞いている。

多忙を極める彼が真琴の休日に合わせると言ってくれて、平日の今日、午後に半休を取って十四時頃に帰宅した。

Tシャツにサラリとした生地のルームパンツ姿の真琴はリビングのソファでレシピサイトを見ていたのだが、少々呼吸を乱して帰ってきた修平にまた驚いた。

(急いで走ってきたみたい。どうしてそこまでしてデートしたいの?)

丸一日の休みは取れないと言われた時に、無理しなくていいと伝えていた。

修平との初デートに胸を躍らせるよりも、真琴は彼の体調を心配する。

以前、関根が修平のタフさをサイボーグに例えていたが、生身の人間なのだから疲れていないわけがない。

「お疲れさまでした。今、お茶を淹れますね」

慌てて立ち上がってキッチンに向かおうとしたら、手を握られて止められた。
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