本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「キャビアが必要なら取り寄せればいい」

「えっ」

金銭感覚の違いに驚いたら、窓の外が明るくなった気がして横を見た。

レインボーブリッジに近づいたからのようで、その向こうにそびえるスカイツリーや高層ビル群の明かりがなんとも美しい。

先ほどまで豪華なディナークルーズに戸惑いの方が強かった真琴だが、やっとこの時間を楽しむ心の余裕ができたように思う。

それは修平との会話を弾ませられたという喜びのせいで、窓越しに広がる都会の夜景がより鮮やかに眩しく目に映った。



自宅に帰り着いたのは二十二時頃で、シャワーを浴びてさっぱりした真琴は水色のルームウエア姿でリビングに戻った。

すると静かな部屋に寝息が聞こえ、ワイシャツにスラックス姿の修平がソファで横になっていた。

クーラーが効きすぎて寒いのではないかと思い、真琴はそっと近づいてローテーブルの上のリモコンに手を伸ばす。

エアコンの設定温度を一度上げてからなにげなく寝顔を見て、鼓動が跳ねた。

(か、可愛い!)

彼の容姿に美しさや精悍さを感じても、これまで可愛いと感じたことはなかった。
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