本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「すみません。せっかく気持ちよく寝ていたのに起こしてしまって」

「俺は昔から眠りが浅いから気にしなくていい。真琴に声をかけられなくてもすぐに目覚めた。それで、なに?」

「え?」

「今、『どうして』と俺に聞いただろ。なんの話だ?」

ソファに座るように言われ、並んで腰を下ろした。

真琴の方に体を向けて真剣に聞く姿勢を見せてくれるが、深刻な悩み相談でないのがかえって話しにくい。

「大した話じゃないんです。どうして急にデートに誘ってくれたのかが気になっただけです」

休みの日がたまたま重なったのならわかるけど、無理して時間を作ってまで誕生日でも記念日でもない日に豪華デートをしてくれた理由がわからない。

しかし素直に喜ぶだけの方が可愛げがありそうな気がして、聞かなければよかったとすぐに後悔し始めた。

「詮索するみたいですみません」

自嘲気味に笑って付け足したが、修平は真剣な顔を崩さない。

「いや、疑問に思われて当然だ。初めに説明しておくべきだった。実は――」

関根にすれ違いの生活は離婚原因のひとつだと言われた話を教えてくれた。

妻の不満を溜めないために定期的なデートを提案されたことも。
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