本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「そうだったんですか......」

真琴が訪問販売で見た限りでは、修平は上司である関根に煩わしそうな態度を取っていた。

その関根に結婚生活のアドバイスを求めていたとは意外である。

いや修平なら関根に限らず誰にも相談せずに自己解決しそうな気もするし、その前にすれ違いの生活に危機感を持ってくれていたのも驚きだ。

(私の不満を溜めないためのデートだったんだ。気遣ってくれて嬉しいけど、少し違う)

「今日はありがとうございました。ディナークルーズは初めてで楽しかったです。でも、こういうデートを定期的にしたいとは思えなくて......」

来月も企画されては困るため、修平を傷つけないかヒヤヒヤしながらも本心を明かした。

彼の眉間には、わからないと言いたげな皺が寄っている。

「今日のデートプランでは満足させられなかったということか。なにが足りなかった?」

「違うんです。今日のデートに足りないものはありません。そうじゃなくて......」

修平に体を休めてほしかったと打ち明け、この際だから言ってしまおうと背筋を伸ばした。
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