本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「私は豪華なデートがしたいわけじゃないんです。日常的な触れ合いや心の繋がり、そういうのが夫婦を続けるのに大切な要素だと思うんです」

現状では無理だとわかっているが、できることなら他愛ない話をしながら毎日一緒に食事がしたい。

テレビドラマを見て感想を言い合ったり、たまには意見をぶつけたりして喧嘩するのもいい。

特別なデートではなく、日々の些細な会話の積み重ねが夫婦の絆を深めていくのではないか――と説明したかったのだが、急にソファに押し倒された。

「キャッ!」

顔の横に片腕を突き立てられ、見下ろしてくる瞳はいつもと違って熱っぽく潤んでいる。

ひとつふたつとワイシャツのボタンを外す彼は、初めて見る色気をあふれさせていた。

「修平さん......酔ってます?」

ディナーでワインを二杯飲んでいたが、酔っている感じは少しもなかった。

けれどもそれ以外に、この状況の説明ができない。

「酔っていない」

「だったらどうして......」

「真琴が言ったんだろ。触れ合いと繋がりが欲しいと」

「心のです!」

戸籍上は夫婦でも、恋愛感情はお互いにない。
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