本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
真琴の感覚では恋心が芽生えた先に体を重ねるという行為があるので、両手に力を込めて彼の胸を押した。

ところが、びくともしないどころか肘を折った彼に顔の距離を詰められた。

修平に比べれば自分は非力なのだと理解し、焦っているはずなのに嬉しさも混じる。

彼の吐息が唇をかすめ、鼓動が振り切れんばかりに高鳴った。

それでも甘い雰囲気に流されまいとして顔を背け、「心の繋がりです」と同じ反論を繰り返す。

「体の繋がりはどうでもいいのか? 夫婦ならあって当然の行為だろ」

「そうかもしれませんけど、私たちの場合は気持ちが――」

「気持ちはある。俺は真琴を抱きたい」

そう言われた次の瞬間、真琴は唇を奪われた。

強引さが彼の本性なのか、それとも変化の乏しい表情の下で制御できないほどに感情を高ぶらせているのか。

水音が立つほど激しく唇をむさぼられたかと思ったら、急に優しい舌つきでなまめかしく口内を撫でられ、真琴の理性が狂わされる。

(どうしよう、少しも嫌じゃない。修平さんの体を知ってみたいと思い始めてる)

「いいか?」

覚悟を問われた真琴は高まる期待の中で頷いた。
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