本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
真琴は急いでダイニングテーブル側に回り、真剣な目を向けた。

「もっと詳しく聞かせてください。子供の頃から今までの修平さん人生を」

人間に興味がないと言い、冷めた印象を与える理由がそこに隠されている気がした。

修平を深く理解したいという思いが強まる。

「結婚前に話したはずだが」

真琴の実家に結婚の挨拶に来た際、両親が事故死して親戚宅で育った話は聞いている。

出身校やアメリカで数年医師として勤めていた話も教えてもらったが、それはまるで履歴書のようで修平の心が伝わってこなかった。

「経歴じゃなくて、修平さんがなにを感じてどう生きてきたのかが知りたいんです。医師の道を選んだ理由も、もう少し詳しく教えてください。お願いします」

なかなか話し合う時間が取れない生活をしているので、今を逃せば聞く機会を失ってしまいそうだ。

それで修平の向かいの椅子に背筋を伸ばして座ったのだが、彼の腹がグウと鳴った。

「腹が減った」

「あっ、もうお昼ですものそうですよね。すぐ作ります」

「ありがとう。できあがるまでに話す」
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