本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
艶のあるほかほかご飯に半熟卵がとろりとかかり、鶏肉やだし、醤油のなんとも食欲をそそる香りが立つ。

彩りに三つ葉を飾り、きのこたっぷりの澄まし汁と浅漬けを添えて盆にのせ、修平の前に置いた。

「うまそう。いただきます」

ふたり分の煎茶を淹れ、彼と向かい合って座る。

表情に表れなくても勢いのいい食べ方を見れば、美味しいという彼の感情が伝わってきた。

それは嬉しいけれど彼についてまだ疑問があるのでスッキリせず、食べ終えるのを待って問いかけた。

「他人に興味のない修平さんが、私のなにに興味を持ったんですか?」

自分のどこに惚れたのかと聞いたわけではないのに、言ってしまってから恥ずかしい質問をした気がして湯のみを持つ手が汗ばんだ。

「ご馳走様」

箸を置いて満足そうな息をついた修平がじっと真琴と視線を絡めるから、鼓動がどんどん加速する。

(答えてくれるかな......)

「それも前に話した。花福の五代目になると胸を張っていた真琴を見たのが、興味の始まりだ」

ある看護師にアルバイトだと勘違いされムキになって仕事への情熱を語ってしまった、二年前のことだろう。
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