本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「だから真琴が輝いて見えるんだ。俺も君のように夢中で仕事をしてみたい。家族経営で仲がいいのも興味が湧いた点か。ほぼ一日中家族と行動をともにする生活は、どんな心地がするのだろう。俺には感覚的に理解できない。真琴はきっと俺とは違うものの見え方をしているんだろうな」

真琴への興味はそこにあり、結婚すれば言葉での説明が困難な部分が理解できるようになるかもしれないと思ったそうだ。

(私に興味があるって、そういうことだったの......)

疑問が解けても真琴の心はモヤモヤしている。

(なんだろう。この残念な気持ちは)

修平の前にある空になった丼や汁椀を見て気づく。

恋愛感情がないのはわかっていても、真琴と結婚したら美味しい手料理が食べられそうだという期待くらいはしてほしかった。

なにも望まれていない気がして寂しく思ったのだ。

(興味があるというところから一歩前進したい。私がそばにいてよかったと思ってほしい。どうすればいい?)

話し終えた修平が食器を下げるために立ち上がった。

彼が軽く食器をすすいで食洗器を稼働させる間に、真琴は頭を悩ませる。

(修平さんのために私ができることは......)
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