本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
(まさか、ボーリングまで最初から上手ではないよね?)

嫌な予感を覚える真琴は、椅子に座って修平の一投目を見守る。

お手本のようにきれいなフォームで投げられたボールは、レーンを右から左に大きくカーブしてピンにあたる手前で溝に落ちた。

真琴と同じく一投目はガターが記録された。

(ヤッタ!)

思わず心の中で喜んでしまったが、「思ったより曲がるな」と呟いた修平の二投目はきっちりと修正され、スペア――つまり十本のピンをすべて倒してしまった。

(嘘でしょ......)

ニコリともせず戻ってきた修平に唖然としながら拍手を送る。

(修平さんにとっては、ボーリングも簡単で退屈な遊びなの?)

フレーム数を重ねるごとに雲行きは怪しさを増し、真琴は七十二、修平は二百四というスコアで一ゲーム目を終えた。

二百超えはプロの域でスコア表にはストライクとスペアのマークが並び、真琴ははっきりと計画の失敗を悟った。

四ゲームほどプレイする予定が、次のゲームでふたり合わせて五百点に達するのも確実である。

(私の浅知恵じゃ修平さんを楽しませてあげられないんだ。すごく残念だけど、仕方ないか)
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