本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
どうやら賑やかな女子大生たちがハイタッチしているのを見て、そういう不文律があると思ったようだ。

無理してやらなくていいと言おうとしたが、思い直して笑顔で修平と両手を合わせた。

自分の弾む心が、修平に伝染することを期待しながら。

それからは五百点という目標も時間も忘れ、修平にコーチしてもらってボールを投げ続ける。

閉店時間の二十二時が迫りラストゲームを終えた時には、真琴のスコアは百二十を超えた。

「ボーリングには苦手意識があったんですけど、修平さんのおかげでかなりあたるようになりました。腕がパンパンで筋肉痛になりそうです。でもすごく楽しかった」

結局、努力して上達する喜びを味わったのは真琴の方であった。

爽快な疲労感の中、修平の隣の椅子にドサッと腰を下ろしたら、プリントアウトされたスコア表を渡された。

「百二十一、私にしたら夢のような高得点です。明日の休憩時間に兄に見せて自慢します。子供の頃はよく、どんくさいと馬鹿にされたんですけど、もう言わせません」

スコア表に視線を落としてニンマリしていたら、プッと吹き出すような笑い声がした。

驚いて隣を見ると、修平がおかしそうに肩を揺らしている。
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