本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
ひと月に二、三回程度であるが、抱かれるたびに意識が飛ぶほどの快感を味わい、女にも情欲があることを実感させられた。

微かに消毒薬の香りがする修平は、激務の疲れも感じさせない力強い目をして、真琴の反応を窺いながら薄く微笑んでいる。

仕事のために断ろうとする信念と、応じたいという欲求が拮抗する。

「明日も早朝からのシフトなので......でも、修平さんが我慢できないなら......」

恥ずかしさに目を合わせていられず、もじもじして判断を彼にゆだねてしまう。

鼓動は高まり半分以上その気にさせられたところで、修平がスッと身を引いた。

クスリと笑って真琴の頭を撫でる。

「冗談だよ。真っ赤になる顔が見たかっただけ。一日の最後に可愛い顔が見られてよかった」

「えっ」

(プロポーズされた時に『俺は冗談を言わない』と言っていたのに。修平さんは少しずつ変わってきている。あの頃より、人間味が出てきたような......)

からかわれてさらなる羞恥に落とされつつも、真琴は最近の修平を振り返る。
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