本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
守也の指摘が胸に刺さり、結婚生活への迷いが生じる。

(スタートはおかしな結婚だった。それはわかっている。でも今の私は修平さんが好き。同じ気持ちになってもらうのは難しいけど、彼が嫌になるまでは一緒にいたい)

気持ちを立て直した真琴が、夫婦をやめるつもりはないと首を横に振る。

けれども守也は必死になって説得を続ける。

「賑やかな家族の中で大事に育てられたマコちゃんなら、結婚して自分もそういう家族を作りたいと思っているんじゃない? 生嶋先生は優秀な外科医でかっこいいし金持ちだろうけど、マコちゃんの望む結婚生活を与えてくれないよ。幸せはお金じゃ買えないんだ。目を覚まして」

真琴がセレブ暮らしに目がくらんでしまったと、守也は言いたげだ。

それは間違っているが、理想の結婚を言いあてられて言葉に詰まった。

(実家の家族のような温かい家庭を築くのは、修平さんとでは無理なの?)

理知的で淡白な修平がくだらない話で盛り上がったり、些細な成功を喜んだり、ふざけて喧嘩になったりと賑やかに振る舞う姿を想像できなかった。
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