本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「わかったよ。でも僕、マコちゃんを待ってるから。もし生嶋先生と別れたら、僕のところに戻ってきて」
守也が外来ロビーの方へ走り去っても、連絡通路に誰も現れなかった。
緊張を解いた真琴も、とぼとぼと引き返しながら逡巡する。
(修平さんはお見合い話を断るために結婚した。相手に私を選んだのは興味があるから。興味があっても、好きになってもらえない。片思いの結婚生活がこの先、何十年も続くのか......)
いつかそれが苦しくなるのではないかと恐れ、真琴のすべてを知り尽くし興味を失ったら、修平の方も夫婦でい続けるのがつらくなるのではと不安を覚えた。
* * *
十六時過ぎの循環器外科病棟は、比較的落ち着いた空気が流れている。
午前中は走り回るほど忙しかった看護師たちは今、ナースステーション内で看護記録を書いていた。
薄緑色の手術着姿の修平はカウンターテーブルの医師用パソコンに向かい、入院患者の処方箋を入力している。
それは修平にとって息をするほどたやすい仕事で間違うはずはないのだが、エンターキーを押したら画面にエラーメッセージが現れて眉を上げた。
守也が外来ロビーの方へ走り去っても、連絡通路に誰も現れなかった。
緊張を解いた真琴も、とぼとぼと引き返しながら逡巡する。
(修平さんはお見合い話を断るために結婚した。相手に私を選んだのは興味があるから。興味があっても、好きになってもらえない。片思いの結婚生活がこの先、何十年も続くのか......)
いつかそれが苦しくなるのではないかと恐れ、真琴のすべてを知り尽くし興味を失ったら、修平の方も夫婦でい続けるのがつらくなるのではと不安を覚えた。
* * *
十六時過ぎの循環器外科病棟は、比較的落ち着いた空気が流れている。
午前中は走り回るほど忙しかった看護師たちは今、ナースステーション内で看護記録を書いていた。
薄緑色の手術着姿の修平はカウンターテーブルの医師用パソコンに向かい、入院患者の処方箋を入力している。
それは修平にとって息をするほどたやすい仕事で間違うはずはないのだが、エンターキーを押したら画面にエラーメッセージが現れて眉を上げた。