本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
一刻を争うような緊急連絡は着信音を変えているため、ナースステーション内にいる全員の意識が電話に向いた。
受話器を素早く取ったのは四十代の女性看護師長で、普段の菩薩のような顔つきが見る見るうちに険しくなる。
受話器を置かないまま、看護師長が修平と関根に緊急連絡事項を告げた。
「近くで車の多重衝突事故が発生しました。当院には二名、重傷者を搬送中です」
関根が真っ先に立ち上がった。
修平をからかっていた時のお調子者の雰囲気は跡形もなく消え去り、今の関根は使命感あふれる外科医の顔つきをしていた。
患者のひとりは大型トラックを運転していた六十代男性で、頭部外傷と両腕骨折の疑いがあるそうだ。
この病院ではすべての医師が救急救命センターでの業務を兼任している。
その患者の治療に、脳神経外科医と整形外科医が呼ばれていることだろう。
そしてもうひとりの患者は胸部損傷と大腿骨骨折の疑いのある二十代女性で、心臓マッサージをされながらの搬送中だという。
(心停止しているのか。助からない可能性もあるな。二十代の若さで可哀想に)
同情はしてもどこか他人事な感は否めない。
「人手がいるな。ふたりで行くぞ」
受話器を素早く取ったのは四十代の女性看護師長で、普段の菩薩のような顔つきが見る見るうちに険しくなる。
受話器を置かないまま、看護師長が修平と関根に緊急連絡事項を告げた。
「近くで車の多重衝突事故が発生しました。当院には二名、重傷者を搬送中です」
関根が真っ先に立ち上がった。
修平をからかっていた時のお調子者の雰囲気は跡形もなく消え去り、今の関根は使命感あふれる外科医の顔つきをしていた。
患者のひとりは大型トラックを運転していた六十代男性で、頭部外傷と両腕骨折の疑いがあるそうだ。
この病院ではすべての医師が救急救命センターでの業務を兼任している。
その患者の治療に、脳神経外科医と整形外科医が呼ばれていることだろう。
そしてもうひとりの患者は胸部損傷と大腿骨骨折の疑いのある二十代女性で、心臓マッサージをされながらの搬送中だという。
(心停止しているのか。助からない可能性もあるな。二十代の若さで可哀想に)
同情はしてもどこか他人事な感は否めない。
「人手がいるな。ふたりで行くぞ」