本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
香奈は意外そうな目を修平に向けているが、真琴はクスクスと一緒に笑い、和やかな雰囲気になったところで検査結果を聞く。

「異常なし。数値の上では健康体だ。体調で気になることは?」

「ないです。すっかり体がなまってしまって、運動したいくらい元気です」

「ウォーキング程度なら構わない。仕事も復帰して大丈夫だろう」

それはなにより待ち望んでいた許可だった。

思わず「ヤッタ!」と声をあげたら、香奈も両手を上げて喜んでくれた。

「仕事好きな真琴がよく我慢したね。完治、おめでとう。よかったね」

ふたりで手を取り合ってはしゃいでいたら、修平が苦笑して注意する。

「張り切ってなんでも引き受けないように。最初は二、三時間からだ。休息は十分に取ること」

「はい、気をつけます」

随分と心配をかけてしまった実家の家族も、これで安心してくれるだろう。

真琴が長期間休むことになって、両親はもとより今まで怠けてばかりだった兄も人一倍働いていると聞いた。

家族への負担を軽減できることも嬉しく思っていた。

診察はこれで終わりで、帰っていいと言われた真琴は目を瞬かせる。

「傷は見ないんですか?」

「痛むのか?」
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