本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
彼の気持ちはわからないが、婚約指輪についてはなにか誤解しているようなので説明する。

「私、この指輪をとても気に入っています。傷ついたら嫌なので普段使いはしませんけど、今日はお洒落してのお出かけなので張りきってはめてきました」

「そうか。気に入ってつけているなら問題ない。義務感かと思ったんだ」

「なんの義務ですか？」

「いや、気にしないでくれ。真琴、あそこ。カモメが群がっている」

修平が指さした方向にパンをちぎって投げている人がいて、二十羽ほどのカモメが鳴きながら低空を飛んでいる。

すると真琴たちを追い抜いて公園職員らしき男性が駆けていき、エサやりは禁止だと注意しているようだ。

それを見ていたため気が逸れて、なんの話をしていたのか忘れてしまった。

その後は花の美術館を見て館内のカフェで温かいコーヒーを飲んでひと休みし、砂浜に戻る。

白い桟橋のようなテラスが海に向かって伸びており、昼間は混雑して上がれなかったが夕暮れ時になると空いていた。

真琴と修平は桟橋を歩いて先端で立ち止まり、手すりにもたれて夕日を眺める。
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