本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
説明されてもすぐには思いあたらず、真琴は困惑する。

「たしかにやり直そうと言われましたけどはっきり断りました。そんな質問もされていない気が......あっ、もしかして」

守也が不安を煽るようなことばかり言うので、これ以上はなにも聞きたくないと真琴は耳を塞いだ。

おそらくその時に言われたのだろう。

首を横に振ったのは守也と会話したくないという意思表示のつもりだったのに、知らないうちに修平に大きな誤解を与えてしまったようだ。

真琴が焦って釈明すると、修平がホッと息をついた。

「そうだったのか」

「勘違いさせてすみません。私は随分と修平さんを苦しめていたんですね。なんと言って謝ればいいのか......」

「いや、俺が悪い。真琴に確認すればすぐに誤解だとわかったのに、決めつけてしまった」

修平は表情を和らげて続きを話す。

その時点ではまだ離婚しようとは思わなかったそうだ。

真琴が結婚生活を苦痛に感じているのではと気にしても、真琴を失いたくない、元婚約者には返したくないという独占欲を一番に感じていたためだ。

それも愛情なのかもしれないが、真琴への愛をはっきりと自覚したのは事故の日だという。
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