本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
髪形も同じで愛華のようなふんわり明るい髪色のショートヘアは、小柄だからこそ似合うと感じる。

真琴は小学生の時に男子に間違われて以来、髪形はロングストレートと決めている。

せめて髪の長さで女性らしさを出したいと思ってのことだが、乾きにくいし傷まないようケアするのも大変なので、本当は愛華のように短くしてみたい。

パッチリとした二重も、守也との二十センチ以上ありそうな身長差も、男性に間違われそうにない名前も、愛華のすべてが羨ましい。

(なんだ、九波さんは悪くないじゃない)

愛華への嫌悪感はコンプレックスが原因だと自己分析した真琴は、唇を噛んだ。

(八つ当たりで苦手に思うなんて失礼だ。こんな自分は嫌。せめて心だけは可愛い女性でいたいのに......)

真琴がひとり静かに嫉妬と闘っていると、愛華は冷めた焼き鳥を「どうぞ」と真琴の方に押しやった。

それから守也の方に体を寄せ、自分たちと真琴の間に仕切りを作るかのようにメニュー表を立てて開いた。

「守也さん、新しい串もの注文しませんか?」

(えっ......)
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