本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「えっ、ちょっと待ってください。突然そんなことを言われましても」

真琴の中での結婚は、友人から恋人になってその先に待っているものである。

友人でさえもない修平が、自分に求婚する理由がわからず困るばかりだ。

真琴が首を横に振ったから断られたと思ったのか、修平が説得に乗り出す。

「婚約者を取られて悔しくないのか?」

「ショックで悲しいとは思いますけど、仕方ないことなので悔しくはないです」

「本当に?」

真意を探るような目を向けられ、真琴はとっさに目を逸らした。

(本当は悔しい)

その気持ちが表情に出ていたのか、答えずとも修平が頷いた。

「悔しくて当然だ。俺と結婚すれば、あいつらに一矢報いることができるぞ。あの女はーー」

驚くことに愛華は半年ほど前の二か月間ほど修平につきまとっていた時期があり、しつこく交際を求めていたらしい。

修平がはっきり断ってもしばらくは周囲をうろついていたそうだが、ターゲットを守也に変更したためか、ここ最近は話しかけてこなかったという。

愛華が落とせなかった修平が真琴と結婚したら、悔しがるのではないかという話をされた。
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