本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
エースと呼ばれている優秀な外科医で女性人気の高い彼が、密かに真琴に想いを募らせていたのかと期待する。

(可愛らしさが足りない私だけど、自分でも気づかない魅力があったの?)

けれども続いた言葉に肩透かしを食らう。

「君という人間に興味がある」

(興味......恋愛感情はないってことか。そうだよね、私に魅力なんかないってわかっていたのに、なにを期待しているんだろう)

勘違いを恥ずかしく思いつつ、納得もしていた。

訪問販売で会うたびに商売がしにくいほど話しかけられた。

趣味や休日の過ごし方、食や服の好みなど、様々な質問をぶつけてくるのだ。

真琴は中学生の時から家業を手伝っていて部活動をする余裕はなかったのに、スポーツをしていたのかと問われたこともあった。

高身長で逞しそうな見た目がそう思わせたのかと、コンプレックスを刺激された真琴は不愉快な気分にさせられた。

高卒なのに出身大学を尋ねられたこともあって、馬鹿にされたようにも思った。

しかしながら修平としては、純粋に真琴について知りたいから質問を重ねていただけのようだ。
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