本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
ふたりとも仕事が忙しく修平がプロに頼めばいいと言ったので、家具や家電の購入も含めてインテリアコーディネーターに部屋を整えてもらった。

兄は真琴より先に上がってズカズカと廊下を進み、リビングに入って驚きの声をあげた。

「ショールームかよ」

三十畳のリビングダイニングには、白とグレーを基調としたモダンな家具が配置されている。

他に部屋は三部屋あり、真琴と修平がひと部屋ずつ寝室として使い、残った部屋は今のところなにも置いていない。

ガラス天板のローテーブルに持ってきた段ボール箱を置いた兄が、L字形の白い七人掛けソファに恐る恐る腰かけて眉を寄せた。

「座り心地がよすぎて落ち着かない。マコ、本気でここで暮らす気か?」

真琴はアイランドキッチンの大型冷蔵庫に食材をしまいつつ笑った。

「やっぱり私たちって兄妹だよね。私も場違いな感じがするもの。でもきっと住んでいれば慣れると思うよ。生嶋先生にも......」

壁に掛けられたイタリア製のデザイナーズ時計が十四時をさしていた。

修平も今日からここで暮らす予定で、午前中の手術の執刀が終わり次第帰宅し、荷物整理をすると言っていた。
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