本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「違うよ、お客さんたちの質問に答えるのに疲れたの。寝室は別だから夜は熟睡してる。香奈には全部話したでしょ。からかわないで」

守也を紹介してくれたのは香奈なので、婚約解消となったいきさつはすぐに報告した。

真琴のために激怒してくれた香奈だったが、代わりに修平と結婚することになったと教えたら電話口で叫ぶほど驚かせてしまった。

香奈は修平にいい印象を持っておらず、驚きの波が引いた後にはかなり心配もされた。

「寝室はまだ別のままか。やっぱり生嶋先生は他人に関心がない人なんだよ。マコは普通の夫婦を目指して努力するって言ってたけど、無理そうだとわかったんじゃない?」

どうやらからかう意図はなかったようで、真琴も真面目に答える。

「生活時間がずれているからほとんど一緒に過ごせない。努力もできない感じ。でもまだたったの五日だから、諦めるのは早いと思うんだ」

修平と会話を弾ませようと意気込んでいたのに、まともに話をしたのは同居初日だけだった。

彼は八時に起床して八時半頃に出勤し、帰宅は二十二時を過ぎることが多い。

夜勤の時は丸二日、自宅に帰らないそうだ。
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