本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
見下されたからではなく、お互いのパートナーを取り換えようと簡単に言ってしまえるいい加減さに対して嫌悪している。

商売柄つい笑顔を向けてしまう真琴が、珍しく思いきり顔をしかめた。

「私たちに婚約解消させておきながら、今さらなにを言うんですか。私はあの時すごく傷つきましたし、守也くんもあなたがそんな風に言っていると知ったら悲しみますよ。人の気持ちをもてあそぶのはやめてください」

「仕方ないじゃないですか、守也さんより生嶋先生の方がイケメンだし高収入なんですから。怒らないでよく考えてください。元婚約者を取り戻せるんですよ。マコさんにとっても都合がいいはずです。守也さんのこと、まだ好きでしょう?」

その問いかけにすぐには答えられず、真琴は逡巡する。

守也と別れてまだ二か月と少ししか経っておらず、三年間の交際を経て婚約までした相手なのに、最近は思い出す時間が激減している。

それに代わって心を占めるのは、修平と一緒に過ごす時間をどうやって確保すればいいのかという悩みだ。

(守也くんを好きだった気持ちはどこへ行ってしまったの?)
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