本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす

真琴が薄情なのではなく、愛華に振り回されている守也に呆れが勝った結果だろう。

それでもお人好しな真琴はいい気味だと思わず、守也を気の毒にも感じていた。

（そういえば......）

自分と結婚したら愛華と守也に一矢報いることができる、と修平が言ったのを思い出した。

（こうなることを予想していたの？　私はそこまで深く考えなかった。誰を傷つけるつもりも仕返しする気もないけど、九波さんには腹が立っているから言わせてもらいたい）

口論が苦手な真琴が、両手を握りしめて愛華に厳しい視線を向ける。

「勢いで結婚を決めたのは否めませんが、修平さんと本物の夫婦になれるように努力したいと思っています。結婚も交際も相手があってのこと。相手の気持ちを考えれば簡単に別れるとは言えないはず。九波さんはもう少しパートナーを思いやれるようになってください。そうしないといつか、あなたが捨てられますよ」

愛華の目が大きく見開かれ、直後に可愛らしい顔が歪みそうなほどしかめられた。