本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「なんで私がマコさんなんかに恋愛指導されないといけないのよ。外科医と結婚したからって調子に乗ってるの? はっきり言うけど釣り合わないどころじゃないから」

真琴の注意は愛華のプライドを傷つけたらしく、怒り任せに欠点を言い立てられた。

まずは顔の造作が薄味なのに化粧は控えめで、崩れていても直さないことを指摘され、店のエプロンの下の私服にセンスが感じられないとも言われた。

真琴の仕事はこの病院の訪問販売だけではない。

仕出し屋は特に法要や葬儀での注文が多く、セレモニーホールや寺院で給仕することは日常的だ。

そういった場に派手な化粧は相応しくないと思い、薄化粧を心掛けている。

お洒落のセンスがないというのは、その通りかもしれない。

今着ているのはマリンボーダーのTシャツと白いストレートパンツという素朴さだ。

流行は意識していないが、清潔感には気をつけており、今日はここへ来る前に一度着替えている。

汗だくになる日は二、三度着替えをするので、更衣に時間がかからず洗濯しやすい服装を選んでいた。
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