本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
(理由があってのことだけど、手抜きだと思われてもしかたないか。今度、新しい服を買いに行こう。化粧直しは......なんとか時間を見つけてするように気をつけよう)

化粧や服装については改善できるため批判されても心の傷は浅いが、愛華は真琴のコンプレックスにも土足で踏み込んでくる。

「マコさん、身長はなんセンチですか? モデルやアスリートならかっこいいのに、弁当屋じゃ無駄になるだけですよね。重たい荷物も軽々運んで、男みたい。もしかして少しでも女らしく見せようとして髪を長くしているんですか? 黒髪ロングは暑苦しいですよ。切ってスッキリしたらどうですか。あ、でもそれだと女性用のトイレに入ったら痴漢だと叫ばれるかもしれませんね」

小学生の時に女子トイレに入ろうとして注意された過去が頭の中に蘇った。

勘違いした教育実習の先生は謝ってくれたが、それからしばらくの間、クラスメイトの男子に『マコトくん』とからかわれ、恥ずかしく悲しい思いをした。

真琴の強いコンプレックスの原点はそこにある。
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