*塞がれた唇* ―秋―
【Special.1:秋】塞がれた唇 ―慰安旅行は下剋上!?―
[1] 〈N&M〉
★この度はお手に取ってくださり、誠にありがとうございます♡(^人^)♡
「ん──!? お、お水っ!!」
「ヤタ──! モモたんの負け~~~!!」
珠園サーカスは団長の計らいで、二年に一度温泉旅行が催されている。
前回モモは入団まもなくのことだったので、まだまだ団員達に馴染めておらず、空中ブランコの師とも言える麗しき鈴原夫人の後を、いそいそと追いかけ回す状態だった。
それもさすがに二年半が経ち、春の誘拐事件・夏の失踪事件も影響して、宴会でもすっかり打ち解けた様子だ。
既に満腹状態の秀成達未成年組とちょっとしたゲームに興じ、『それ』はまもなく宴も終わりを迎えるといった頃の出来事だった──。
「あれ? モモたん、ドコ行くの?」
急に立ち上がったモモに気付いて、雑技団のリンが隣の座布団から見上げたが、モモは何も答えずにゆっくりと上座の方へ向かっていった。
良い心持ちで水菓子を食べている大人達の間を縫って、トテトテと歩いた真っ直ぐ先には、かなり酔っぱらった感じの暮と談笑する、相変わらずしらふと変わらない凪徒がいる。
「ん──!? お、お水っ!!」
「ヤタ──! モモたんの負け~~~!!」
珠園サーカスは団長の計らいで、二年に一度温泉旅行が催されている。
前回モモは入団まもなくのことだったので、まだまだ団員達に馴染めておらず、空中ブランコの師とも言える麗しき鈴原夫人の後を、いそいそと追いかけ回す状態だった。
それもさすがに二年半が経ち、春の誘拐事件・夏の失踪事件も影響して、宴会でもすっかり打ち解けた様子だ。
既に満腹状態の秀成達未成年組とちょっとしたゲームに興じ、『それ』はまもなく宴も終わりを迎えるといった頃の出来事だった──。
「あれ? モモたん、ドコ行くの?」
急に立ち上がったモモに気付いて、雑技団のリンが隣の座布団から見上げたが、モモは何も答えずにゆっくりと上座の方へ向かっていった。
良い心持ちで水菓子を食べている大人達の間を縫って、トテトテと歩いた真っ直ぐ先には、かなり酔っぱらった感じの暮と談笑する、相変わらずしらふと変わらない凪徒がいる。
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