あの頃の私たちへ
「も、もしもし」

何コールか鳴って先生の声が聞こえてきた

ドキッと心臓が動く

「橘です あはは 本当に繋がった」

私の酔いはまだ残っていた

「お酒飲んでるの?」

いつもと違う私の声に先生は気付いた

「なんでわかるの? すごいね もうあの頃から結構月日経ってるよ」

「わかるよ だって毎日一緒にいたんだよ お酒なんて大人になったんだね」

先生の優しい声が私の酔った頭に響く

なんか変な感覚だ

「私いま駅にいるの 終電逃しちゃってさ 先生迎えにきてよー」

酔った勢いで言葉がさらさら出てくる

普段なら絶対言えないこと

「ちょっと今は厳しいかな」

先生は少し困った様子

「それはそうだよね ねぇ先生? 私ずっと忘れられなくて 本当に辛くて…」

言葉に詰まった

涙が溢れてくる

「好きだったよ 先生…」

私は涙が止まらなかった

あの頃の思いがどんどん溢れてくる
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