あの頃の私たちへ
「ごちそうさまでした」

私たちは店を出た

「今日はありがとう なんか忙しいのに無理やり誘ってごめんね」

「いやいやこちらこそありがとう お陰で楽しかったよ」

このまま帰るのか

なんだかとても寂しい気持ちになった

「少し歩こうか」

先生は歩き出した

「改めてごめんね あのとき何も言わずに学校を辞めて あれから大変だったんじゃない?」

私は足を止めた

「私は大丈夫だったよ 周りも支えてくれたし 友達だっていたしね」

私は笑った

けど勝手に涙が溢れてきた

私は嘘をついた

本当は先生が学校を去った後も私へのバッシングは卒業するまで続いた

「嘘つかないで また強がって だから君は放っておけないんだよ」

先生は私の頭を撫でた

「本当にごめん 僕はずっと後悔してるんだ あのときもっと最善を尽くせたんじゃないかって 」

先生は深々と頭を下げた

「謝らないでよ… だったらお詫びして 今日は帰りたくないな」

私は先生にギュッと抱きついた

酔いは完全に覚めていた

これは私の本音

「ごめん…」

先生はそっと私から離れた

「僕結婚するんだ…」

先生の言葉がすんなり頭にはいってこない

「え? 今なんて…?」
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