"全く興味がない"それだけだった
むしろ思惑通りに動いてくれるミケーレを見ていると気持ちいいくらいだ。
頬の痛みなど忘れてしまうくらいに。


「此処にわたくしとの婚約を"ミケーレ様の意思で破棄する"と証明する書類です。此処にサインして下さいませ」

「っ、そんなものなくたって父上に言えばいいだろ!?」

「わたくしの両親を説得させる為だと思って‥お願い致します」


ミケーレはレンドルター伯爵家に嫌われているとは微塵も思っていない。
むしろ自分が婚約者で良かったな、的な態度である。
それにミケーレにランドリゲス公爵に報告しに行かれる事、それだけは避けたかった。

ソフィーアが静かに頭を下げる。
目的の為ならば、どんなことでも耐えてみせよう。


「ミケーレ様に、わたくしからの最後のお願いです」

「ふ、ふん‥そこまで言うのならサインしてやろう」


ミケーレはソフィーアの態度に気を良くしたのかソフィーアの提示した紙にサインする。
どうやら「お願い」という言葉が効いたようだ。

それにしても、書類をよく読みもしないでサインをしてしまうミケーレには尊敬してしまう。

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