双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました

　私が車を降りると、雄吾さんも続いて運転席から降りる。門柱の前には海斗が立っていた。私が車で移動中に連絡を入れていたのだ。
「海斗、ただいま」
「おかえり」
　海斗はいつも通りの雰囲気で私を出迎える。しかし、視線を雄吾さんに向けると、急に表情が硬くなった。
「俺は謝りませんよ。嘘をついてたのはハルだけだし」
　ツンとした態度を見せる海斗に、私は慌てて声をあげた。
「もう、海斗！　それについては何度もごめんって言ったじゃない」
　雄吾さんが私を家まで送るついでに、海斗にもきちんと挨拶しておきたいってお願いされて外に出てきてもらったけれど。こんな感じで大丈夫だろうか。
　不安になって雄吾さんの様子を窺うと、まったく動じずむしろ穏やかな空気をまとっていてほっとした。
「申し訳なかった。誤解していたとはいえ、頭に血がのぼって暴力に走ってしまった」
「ぼ、暴力？　雄吾さんが？」
　まさか！　ありえない！
　唖然として海斗を振り返ると、気まずそうに頭を掻いて目を泳がせながら言う。
「暴力ったって、ちょっと胸ぐら掴んだ程度でしょう。勘違いしていたんだから仕方がないですよ」
「そう言ってもらえると救われる」
　一触即発かと思いきや、打って変わって和やかな感じで安心した。
　詳細は後で海斗から聞くとして、ふたりの間のわだかまりもなくなったみたいだし、どうしよう。この場で海斗に雄吾さんと復縁したと報告すべきだろうか。
　ひとりで内心オロオロとしていたら、海斗が急に凛として深く頭を下げる。
「これからはハルを......姉をよろしくお願いします」
　雄吾さんとのこれからの件を、海斗にはまだはっきりと伝えていない。にもかかわらず、改まった挨拶をしているのを見て驚いた。
　あっけにとられた私を見て、海斗がそっぽを向いて言う。
「昔言っただろ。百パーセント家族になるって決めたなら、その時は俺だって相手にちゃんと挨拶するって」
「たしかに、そう言ってたね。ありがとう、海斗」
　私が笑顔になると、雄吾さんもにっこりと笑って海斗へ右手を差しだした。
「こちらこそ、今後ともよろしく」
　海斗は照れくさそうに握手を交わし、気恥ずかしいのをごまかすためなのか、急に饒舌になる。
「まあ、これで収まるところに収まったって話だよな。穂貴や詩穂だって喜ぶだろ。今までいなかった父親がやっと来てくれたって」