双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
3.過ぎ去りし時間 ②
雄吾さんと恋人同士に発展してから、早いものでもう一カ月が経過した。
彼とは信じられないほど穏やかで安定した日々を過ごしている。
毎日のようには会えなくても、それはお互い様で私も仕事があるし、まったく気にならなかった。
もちろん会いたい気持ちはある。そんな時にはメッセージを送ると、決まって雄吾さんが電話をかけてきてくれる。
仕事もそこそこ順調で、彼氏はカッコよくて気遣いもできるパーフェクトな人。
人生の中で今が一番恵まれた環境にいるのでは?と思うような日を過ごしていた。
今日は日曜日。もちろん仕事は休み。
しかし、雄吾さんとは残念ながら会う予定はない。明日は午前中から遠方で仕事とのことで前日のうちに移動すると聞き、会うのを遠慮したのだ。
そうして、特にプランのない休日を迎え、すでに正午を回った。ワンルームの部屋でひとりコーヒーを淹れ、そろそろお昼を考えなければと思っていた。その時、スマートフォンの着信音が鳴り始める。
一瞬、彼からの連絡を期待した。
私はマグカップをキッチンに置き、ローテーブルに置いてあったスマートフォンを急いで手に取る。発信主の名前を見て驚いた。
「もしもし。海斗(かいと)? どうしたの?」
『おー、ハル。電話に出るの早いな。ってことは暇だろ?』
開口一番にこんな憎まれ口を叩くのは、私の実弟の海斗。年子で生意気な性格もあって、姉である私を『ハル』と呼び、対等な態度を取ってくる。
まあ、それでも海斗は根は優しいし、しっかりもしているから私も甘えることもあって、弟のそういう態度を咎めたりはしなかった。というか、物心ついた頃から、名前呼びだし、それが当たり前になってしまっている。
「いつもはそんなことないんだから。今日はたまたま暇な日なの。なにか用?」