監察医と魔法使い 二つの世界が交わる時

「まずは、この男の写真を見てほしい」

アイビーが取り出した一枚の写真を全員が覗き込む。そこには一人の男性の顔が映っている。頰に大きな傷があり、プラチナブロンドの美しい髪をオールバックにした男性の目つきは悪く、どこか怖そうな雰囲気である。

「この男の人は誰？」

「怖そうな雰囲気の人だな」

楓と輝一がそう言うと、アイビーとソラは顔を見合わせ深刻そうに暗い表情を浮かべる。冬都の中に嫌な予感が募った。

「この男の名前はロイド。……このフォルトゥナで多くの人を惨殺したのち、君たちの暮らす世界へ行ってしまった魔法使いだよ」

惨殺、その言葉に全員の顔が強張る。普通に日常生活を送っていたら滅多に聞くことのない単語に真っ青になっている者もいる。

「ロイドはもうフォルトゥナじゃなく、俺たちの住む街に……？」

凛都が信じられないと言いたげな表情で言い、アイビーとソラは目を逸らす。

「何でもっと早く言ってくれなかったの？」