監察医と魔法使い 二つの世界が交わる時
「蘭ちゃん、どうかしら?」

「ご飯みんなと食べる?」

死亡診断書を作成していた蘭はその手を止める。碧子と星夜、そしてゼルダたちがジッと蘭を見つめ、その唇が動くのを待っていた。

「……皆さんと食べたいです」

蘭がそう微笑みながら言うと、碧子と星夜もニコリと笑い、ゼルダたちは「やった!」と言いながら喜んでいる。すると、ルカが蘭の手を包んだ。

「蘭ちゃん、すごく嬉しいよ。おいしいご飯作るからね」

「お前の家で食べるんじゃないからな。蘭を連れ去ろうとするな」

マルティンが突っ込み、星夜がすぐに間に入って二人を引き離す。その時の星夜の顔は無表情だった。

ルカが何かを言っているが、全員気にすることなく準備をする。蘭もササッと死亡診断書を書き、かばんを手にした。

「お待たせしました」

「よし、行こうか」

星夜が蘭に手を差し出し、幸せそうな笑みを浮かべる。蘭も笑みを浮かべ、その手を取った。
< 24 / 42 >

この作品をシェア

pagetop