監察医と魔法使い 二つの世界が交わる時

星夜は蘭を抱き寄せ、頭を優しく撫でていく。すると、突然空中に何者かが姿を見せた。宝石で飾られたローブを着たロイドだ。

「えっ、何だあの人……」

「何故宙に浮いてるんだ？」

圭介とマルティンが疑問を口にした刹那、ニタニタと笑っていたロイドと蘭たちは目が合ってしまう。すると、ロイドは驚いた顔を見せた。

「まさか、この我の姿が見えているのか？……まあいい。どうせお前たちのことは消すのだから」

ロイドが杖を蘭たちに向け、何かを唱える。すると紫の光線が飛び出し、蘭たちの方へ飛んできた。

「皆さん！」

蘭は真剣な顔で星夜たちの顔を見る。あの光線に当たってはならないと本能が叫んでいた。だが、全員の手を引いて走り出すことはできない。

光線は目前に迫っている。蘭が目を閉じたその時だった。

「……ふぅ、間に合った」

パチンという音と共に、何者かの声が聞こえてくる。蘭が目を開けると、そこには黒髪に水色の目を持った男性と黒髪に赤い目を持った男性が立っていた。二人とも黒いローブを着ている。