監察医と魔法使い 二つの世界が交わる時
(この人たちは一体何者なんでしょうか……)

二人は蘭たちの前に立ち、刀を空に向かって騎士のように高く上げている。その刀からは光が飛び出し、光線を跳ね返していた。

「何これ、ファンタジー映画の撮影?」

圭介が呟くと、二人は同時に振り返る。どちらも驚いたような顔をしていた。

「皆さん、まさか奴らや俺たちのこと見えてます?」

赤い目の男性が訊ね、全員が頷くと「こんなこと初めてだよ」と青い目の男性が言った。二人ともどこか戸惑っている。

蘭がよく周りを見れば、彼らと同じ黒いローブを着た男性や女性がそれぞれ武器を構えてロイドに立ち向かっている。武器からは光線が飛び出したり、音楽が奏でられると傷が回復していったり、非現実的なことばかりが目の前で起きている。

「一体、これは……」

蘭たちが驚き、目の前にいる二人のように戸惑っていると青い髪に青い瞳を持った男性が現れる。

「監察医の皆さん、驚かせてしまってすみません。僕は魔法使いのアイビーと言います」

「ま、魔法使い!?」

ゼルダ、ルカ、マルティンが大声で言う。碧子は驚き、圭介と星夜は顔を見合わせていた。

魔法使いと言われても、普段なら蘭は信じることはなかった。だが、目の前で戦う彼らの様子を見ていると非科学的な現実を受け入れざるを得ない。
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