監察医と魔法使い 二つの世界が交わる時
気象予報が終わると、今度はスーツを着た男性のキャスターが日本全国で起こった事件や事故などを報道し始める。それに蘭は耳を傾けるのだ。

(解剖の依頼が入るかもしれない……)

何となくそんな予感がし、蘭はブローチにそっと触れた。



朝ご飯を食べ終え、片付けなどを済ませた後、三人は職場である世界法医学研究所へ向かう。ここは、警察から依頼された解剖だけでなく民間の依頼人からの解剖を引き受ける法医学の砦だ。

「おはようございます」

白衣を羽織った三人が挨拶をしながら部屋に入ると、そこには海外出身の三人の監察医がすでにいた。三人で何やら雑誌を読み、話している。

「おはよう、みんな。何を読んでるの?」

星夜が声をかけると、三人が一斉に振り返る。そして、ドイツ人監察医のゼルダ・ゾルヴイッグが「蘭〜!」と言いながら抱き着いてきた。蘭は足に力を入れ、自分より十センチ以上背の高い彼女を支える。

「ゼルダだけずる〜い。俺も俺も〜!」

「こら、彼氏がいる女性に抱き着こうとするな」
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