監察医と魔法使い 二つの世界が交わる時
ルカがそう言いながら蘭の手を取り、「一緒にイルミネーション見に行かない?」と口説き始める。蘭が口を開くよりも前に、すぐ星夜がその手を剥がした。

「残念だけど、蘭は俺と昼間はデートして夜は碧子さんとケーキを食べる予定だからダメ!」

クリスマスの予定はまだ決まっていない。そもそも、蘭は星夜がいなくなってからずっとクリスマスを祝うことなどなかった。クリスマスのことを考えてくれていることに、蘭は胸が温かくなる。

「デート、楽しみです」

蘭がそう言うと、星夜の頰が赤く染まる。それを見て、ゼルダが抱き締める力を強めた。

「いいな〜、星夜。蘭とデートできるなんて。あたし、今年のクリスマスはドイツに帰るのよ。クリスマスマーケット、蘭と一緒に行きたいなぁ」

「ゼルダ、残念なのはわかったからそろそろ蘭を離してやれ」

蘭がどうやってゼルダの腕の中から脱出しようか考え始めると、マルティンが離すように言ってくれる。それに感謝を覚え、蘭は口を開いた。
< 8 / 42 >

この作品をシェア

pagetop