あたしを歌ってよ
「ごめんなさい、あたし……」
こんなにも好きで。
どうしたらいいんだろう。
戻れないかもしれない。
悠馬くんと出会う前には、きっと戻れない。
「あたし……、悠馬くんのこと、好きで、ごめんなさい」
(あぁ、最悪)
こんな告白なんてない。
もっと。
素敵な言葉で。
この気持ちを。
この告白を。
飾りたかったのに。
「……鞠奈ちゃん」
悠馬くんの栗色の髪の毛が、風になびく。
(キレイ……)
なんでこんなにキレイなんだろう。
悠馬くんの何もかもが。
あたしの中では宝石みたいにキラキラ輝いて、尊いものでしかない。
「オレも鞠奈ちゃんに惹かれてる」
悠馬くんはそう言って、掴んでいるあたしの手を両手でぎゅっと包んだ。
え。
えっ!?
「恋人がいるのに、最低!とか、思う?」
泣きそうな目で、そんなこと聞かないで。
あたしの答えは。
ひとつしかない。