あたしを歌ってよ
「好きでいても、いいの?」
悠馬くんは、
「好きでいてくれたら、嬉しい」
と、うなずいた。
それから、
「恋人とのことは、ちゃんとするから」
と、あたしを抱きしめようとして、寸前でやめた。
「……ちゃんとしてから、ぎゅってさせてください」
なんて言うから、あたしの胸の中はキュンっと、痛みに近いときめきに包まれた。
「待ってます」
そう言うと、悠馬くんはニッコリ笑った。
その笑顔は、いつか見たあの笑顔。
悪魔みたいな、キレイな笑顔。
うっとりしてしまう。
もう。
あたしは引き返せない。