あたしを歌ってよ
第三話 デート
夢を見ているんじゃないか、と思った。
好きでいてもいいんだ?
悠馬くんも、あたしに惹かれている?
大学の授業が終わって。
あたしは一人暮らしをしている、ワンルームマンションの一室に帰って来た。
ヴヴヴ。
スマートフォンが振動した。
ロック画面に、悠馬くんの名前。
この間の告白の時に、連絡先を交換して以来。
初めての悠馬くんからのメッセージだった。
《明日、会える?》
短いその文章を、あたしは何度も読み返す。
嬉しくて。
返事を打つ指先が震えている。
《大丈夫です。どこで会う?》
《オレ、迎えに行くよ》
ときめきって、すごい。
たったこれだけのやり取りで。
あたし、もう降参する。
ときめきは、絶対的に、最強な気がする。
ふと、このメッセージは恋人に見られていないのかなって思った。
大丈夫なのかなって。