あたしを歌ってよ
「うまい、うまい!」
はしゃぐあたしに合わせて、悠馬くんも拍手をしてくれた。
バッティングセンターを出て。
悠馬くんは、
「どうだった?オレの行きたいところに連れて行かれた感想は?」
と、また意地悪な表情をした。
「……楽しかったです!でも、今度からは、きちんと行きたい場所は伝えるべきだと、思い知りました」
日頃の運動不足がたたって、あたしはゼーハーと言っている。
そんなあたしを見て悠馬くんが、
「そうだね、それがいいね」
と、笑った。
そのあと、あたしの部屋の前まで悠馬くんは送ってくれた。
「楽しかったです」
「オレも楽しかった」
悠馬くんはあたしの手をぎゅっと握った。
「鞠奈ちゃん」
「?」
「ぎゅっとしてもいい?」
え?
(それって……)
恋人とは『ちゃんとした』ってこと?
あたしを選んでくれたってこと?