あたしを歌ってよ
思わず赤面して尋ねると、
「うーん、可愛いから?」
と、悠馬くんは笑った。
身支度が終わると。
あたし達は部屋を出た。
「今日はあたし、ちょっと遅くなるかも」
「うん。わかった。オレもバイトあるから」
マンションの下で「じゃっ!」と、あたし達はそれぞれの大学へと向かった。
午後になって。
大学の食堂。
以前、南にノートを貸したお礼に、食堂のおやつメニューであるソフトクリームをおごってもらっている。
「今日のTシャツ、可愛いね」
南はソフトクリームを頬張りつつ、Tシャツを指差す。
「可愛いでしょ。借りたんだ」
ちょっと自慢げに言ってみる。
「いいなぁ〜」
と、南はため息を吐いて、
「彼氏の服を借りるとかさー、ちょっと憧れじゃん?しかもあの、悠馬くんのだよ?」
と、あたしをじっと見る。
「うまくいってるみたいで、安心したよ」
と、南はニコニコしてくれる。