あたしを歌ってよ
第二話 信じたいのに
悠馬くんは。
新しいものが好き。
使い慣れたものに対して、執着することはあまり無い。
そのことが。
あたしを不安にさせる。
あの美人な彼女の言葉を思い出す。
『あなたは、飽きられないようにね』
十二月の夕暮れの空を。
あたしはキッと睨んで。
大丈夫って心の中で唱える。
(大丈夫。悠馬くんはきっと、ずっとそばにいてくれるから)
『ベイビー・サンデー』は、今週末にまたあのライブハウスで演奏する。
固定ファンのみならず、どんどん人気が高まってきている。
その中には、悠馬くんの容姿に惹かれるファンも多い。
「鞠奈もはじめは一目惚れだもんね?」
南が珍しく、学校帰りにお茶しようと誘ってくれて。
あたし達はカフェにいる。
「そうだね、一目惚れってやつだね」
あたしはココアラテの入ったカップを両手で包んで、口元に持っていく。