あたしを歌ってよ
「……あたしも、食べたい……」
呟くように言うと、悠馬くんは「あはははっ」と笑って、
「ちゃんと鞠奈の分も買ってきたって」
と、あたしから離れた。
夜。
お風呂から上がって、レポートを仕上げていた。
もう期限ギリギリなのに。
最近あまり集中して取り組めていない。
周りの子から遅れている。
南にさえも「大丈夫?」と、心配されている。
しばらくすると、悠馬くんがお風呂から上がってきた。
あたしと同じボディーソープの香り。
「鞠奈、忙しい?」
そう言って、悠馬くんはあたしを後ろから抱きしめた。
「うーん、レポートしてるけど……」
「そっか……、それは忙しい、よな?」
言いつつ、悠馬くんはあたしの頭のてっぺんや、頬にキスをする。
「……うーん、忙しい、けどっ」
首筋にキスを落とされて、
「降参しますっ」
と、あたしはパソコンを閉じた。
悠馬くんは、
「あはははっ」
と、機嫌良く笑った。