あたしを歌ってよ
夕方。
学校帰りに、悠馬くんからメッセージが来た。
《急にバンド練習が出来ることになったから、行ってくる!》
その短い文章を読んで。
あたしは何故かイヤな予感がした。
でも。
《わかった〜!頑張ってね!》
と、送った。
そして。
部屋に帰って。
もう提出期限が過ぎてしまったレポートの続きに取り組む。
「あー、やる気なし!」
ひとりで唸ってみたものの、やるしかない。
パソコンに向かう。
しばらくして。
時計を確認した。
「もう、こんな時間?」
悠馬くん、帰りが遅くない?
(バンド練習って言っても、こんなに遅くなったことはないのに)
また。
また、だ。
(信じなくちゃ)
不安に負けちゃだめ。
(大丈夫。あたしは、飽きられてなんかない)
呪文みたいに心の中で、唱える。
何度も、何度も。