あたしを歌ってよ
「じゃあ、なんでそんなになるまで飲んでるの?」
あたしは、止められなかった。
「バンドの練習に行くって嘘だったの?あたしに嘘ついて、女の子と一緒にお酒飲んでたんだ?ベロベロに酔っちゃうくらい」
「鞠奈?」
「……可愛い子だったよね?小柄で、ウェーブのパーマが超似合ってて。声も高くて可愛いし」
「……何、妬いてんの?」
悠馬くんがあたしに近づいて、抱きしめようとした。
ニコッと笑って。
「やめて」
あたしは、悠馬くんから一歩、離れた。
「抱きしめて、うやむやにしようとしないで」
「そんなつもりじゃないって」
「じゃあ、どんなつもり?」
あたしの声は、ものすごく刺々しい。
自分でもわかっている。
(可愛くない)
……だけど。
だけど!
納得できないんだもん!
悠馬くんは「はあっ」と、大きくため息を吐いた。