あたしを歌ってよ
ひとり残された部屋で。
悠馬くんの置いていった鍵を見つめて。
あたしは泣いた。
(罰が下ったんだ)
あたしはあの美人な彼女から、悠馬くんを奪った。
それなのに。
美人な彼女に対して、何も思わなかった。
苛立ちとか、そういう気持ちしかなかった。
(さっきのあたし、あの美人な彼女と同じようなことを言ってた)
同じなんだ。
今度は、あたしが。
奪われる番なんだ。
あの小柄な可愛い女の子の顔が、頭の中にチラつく。
憎くて。
悲しくて。
……羨ましかった。